曲解説


 今までに演奏した曲の解説です。


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あ行

秋の朝の序曲 ◆ Overture pour un Matin d'Automne

ユニゾンでの重い感じのオープニングに続いてそれを引き継ぐゆったりとしたテーマはコラール風だが、ハーモニーと言うよりもメロディーを中心にして発展していく。十分にこれが歌い込まれると6/8拍子のアレグロとなるが、これもどちらかといえばゆったりしたもので、この曲の持つ柔らかいムードを損なうことはない。次に再びコラール風の主題が再現されるが、すぐに新しいメロディーへ発展していく。この4/4拍子のメロディーは下降から上昇へ転ずる点でこれまでに提示されたメロディーと対照的で印象に残るがやはり柔らかいムードは保たれている。この後最初のユニゾンのファンファーレ音型、6/8のアレグロの再現、コラール風のメロディーの再現がありエンディングとなる。
<作曲>セルジュ・ランセン
<出版>
<演奏>:第3回

アントワープ賛歌 ◆ Hymnus Antverpiaenew.gif (147 バイト)

1992年作曲。ヨーロッパでは各国持ちまわりで‘文化の首都’を選び、その首都では期間中さまざまなイベントが行われることになっている。この曲は1993年3月にベルギーのアントワープがその‘首都’に選ばれた際の、‘文化の首都オープニングセレモニー’のために作曲された。
曲は4声と打楽器によるコラール。ヴァン=デル=ローストのメロディ・メーカーとしての実力が発揮された作品となっており、オープニングセレモニーにふさわしく、格式高い雰囲気のなかゆっくりと進行していく。
アントワープの大聖堂、壮麗なゴシック建築が、中世から現在に至るまでヨーロッパ有数の貿易港として知られるアントワープの栄華を物語る。

<作曲>ヤン・ヴァン=デル=ロースト
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第9回

ウェストフォート序曲 ◆ Westfort Overture

1996年に出版された新しい曲です。ファンファーレで始まり、軽快な主題、そして、中間部を経て再び最初の軽快な主題となり、最後はファンファーレで閉じるというスタイルは、まさにアメリカンスタイルの吹奏楽のイメージにぴったりの構成です。ただ、この曲が一風変わっているのは、中間部がよくあるゆったりとしたメロディの部分ではなく、マーチ調となる点です。ブリティッシュ風の優雅な旋律を持つマーチなのですが、何故かメロディは調子外れのような感じにズッコケていきます。最初の軽快な主題もどことなくユーモラスな感じですし、ちょっと変わった曲に聞こえるかもしれません。

<作曲>ヤコブ・デ=ハーン
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第7回

ウン・ポーコ・シンコ ◆ un poco cinco

曲名はスペイン語で、英語でいうところの”a little five”で、「小さな5」という意味である。曲は題名の通り5拍子を基調とする曲である。ポピュラー音楽の手法が多く取り入れられており、スペイン風に始まったかと思うとやがて曲はボサノバ調のノリになり、再びスペイン風となって終わる。

<作曲>ジョン・フラック
<出版>:WILLIAM ALLEN MUSIC,Inc
<演奏>:第2回

 

オリエント急行 ◆ Orient Express

1883年に開通したヨーロッパ大陸横断鉄道、オリエント急行での旅を描いた楽しい作品です。曲は、まず旅行の前の期待に胸膨らませるかのような輝かしいファンファーレで始まります。出発駅の賑わいにも似た喧騒がおさまると、いよいよ汽車は発車します。発車を告げる笛に続いて汽笛が鳴り、汽車が線路の上をゆっくりと、ガチャガチャ音を立てながら走り出し加速していきます。この辺の描写は、打楽器や笛を効果的に使って面白いところです。安定して走り出すと、楽しい旅の始まりを表すような旋律が揚々と流れ出します。次々と風景は移り変わり、主人公の歌はとどまることを知らないみたいに溢れ出てきますが、やがてちょっと家を離れてしまったような寂しさや不安も入り交じってきます。それでも汽車はどんどん進んでいき、そのうちウトウトと眠りについてしまったかのような静かな部分が現れます。もしかしたら、途中の停車駅に止まっているのかもしれませんが、アルトサックスとイングリッシュ・ホルンが夢見るような旋律を歌います。後半は再び元のテンポに戻り、前半のメロディが再現します。そして汽車は終着駅にたどり着き、ガチャガチャ音を立てながらスピードを落とし、停車して汽笛を鳴らし、約8分間の楽しい旅も終わります。

<作曲>フィリップ・スパーク
<出版>:Studio Music Co.,
<演奏>:第7回

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か行

カーニバルのマーチ ◆ March in Carnival

1988年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲として作曲されたサンバ風の明るいマーチです。
この曲では、バスドラムが、スルドーを模したリズムパターンを刻んでいて、サンバのリズムの特徴を表しています。この他にも、マラカス、タンバリン、サンバ・ホイッスル、クラベス、などが使われており、楽しいカーニバルの雰囲気を出しています。(本来は、マラカス、ギロ、クラベスはカリブ海系の打楽器ですが、まぁ、その辺はいろいろごっちゃになっていて賑やかです)
曲は、通常の形式で書かれており、短い前奏の後、第1マーチ、第2マーチ、そして再び第1マーチがトロンボーンのカウンターメロディを伴って現われ、ビギン風のトリオに入ります。トリオの後は再び第1マーチが再現され、エンディングとなります。

<作曲>:杉本 幸一 / 小長谷 宗一
<出版>
<演奏>:第8回

組曲「アーサー王」 ◆ King Arthur

曲名の「アーサー王」はケルト人(アイルランド人、スコットランド人、ウェールズ人等の祖先)に伝わる伝説に登場するブリテン王のことである。曲はどの様な編成でも演奏が可能なように全体が12のパートに分かれていて、ある程度の範囲であれば、どの楽器がどうパートを演奏してもよいように配慮されている。派手なソロやスペシャルテクニックを必要とするフレーズはないものの、親しみやすいメロディーで誰でも楽しめる作品に仕上がっている。

1.「キャメロット城」 Camerot Castle

キャメロットとは現在のウィンチェスターのことで、アーサー王はここに都を置き国を治めた。オープニングにふさわしく堂々とした中世の音楽を連想させる。

2.「ランスロット」 Lancelot

円卓の騎士の中でもっとも勇敢で信頼の厚かったのがランスロットである。曲はランスロットの勇敢な戦いをイメージしたもので、速い行進曲風である。

3.「グヴィネヴァ」 Guinevere

グヴィネヴァはアーサー王の妃の名前で、物語はブリテン王国の崩壊を引き起こす人物であるが、ここでは気品のある美しい女性を表すような、古風なワルツに仕上がっている。

4.「マーリン」 Merlin

マーリンはアーサー王を助ける魔法使いで、彼もこの物語になくてはならない重要人物である。広がりのあるゆったりとしたファンファーレともの悲しいトランペットのソロが印象的な曲で、休みなく次の曲へつづいていく。

5.「エクスカリバー」 Excalibur

王の証である名剣エクスカリバーのタイトルが付いたこの曲は、軽快なテンポに乗ってエピローグ風に曲を締めくくる。

<作曲>キース・ショーナンベーグ
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第4回

組曲「クィーン・シティ」 ◆ Queen City Suite

1.「ファンファーレと行列」 Fanfare and Processional

華やかなファンファーレによって始まる1曲目。女王の眼前を行進する行列の様子が、目に浮かぶ。

2.「草の道」 Grass Roots

静かな道、草が生い茂った風景の中を落ち着いたメロディーが流れていく。と思ったら、遠くの方から何かがやってきた。その何かが近づくにつれて曲は盛り上がる。

3.「収穫祭」 Harvest Jubilee

ティンパニーのロールとバスクラリネットの刻みの音から始まる3曲目。終始速いテンポのリズムに様々な楽器が参加して、盛大に盛り上がる収穫祭の風景を描きつつ、半狂乱の内に終わる。

<作曲>チャールス・カーター
<出版>:BOURNE Co.,
<演奏>:第1回

木の悪魔たち ◆ The Wooden Devils

シロフォンと吹奏楽ののためのコンチェルトの形で書かれていて、「悪魔」なんていうタイトルからは想像もつかない可愛らしい曲です。はやいてんぽで、コロコロ転がるような木琴のメロディが可愛らしい悪魔たちを表しているのでしょうか?中間の部分では、一転してブルース調に変わります。日本の歌謡曲なんかにもよくこんな感じってあるような気がしますが、やはり悪魔のイメージではありません。その後再び最初の軽快なメロディに戻った後、木琴のカデンツァがあって曲は終わります。

<作曲>ハーム・エヴァース
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第7回

キリマンジャロ 〜アフリカン・ポートレート〜 ◆ Kilimanjaro -An African Portrait

タンザニアの北東部にそびえる、アフリカの最高峰キリマンジャロ。スワヒリ語で「輝く山」を意味するこの山は、赤道直下にもかかわらず山頂付近には常に氷河があります。
この曲は、そんなキリマンジャロとそれを取り巻くアフリカの情景を描いたもので、3つの部分から出来ています。(3つの部分は切れ目なく演奏されます)

1.セレンゲティ草原

セレンゲティは、タンザニアとケニアの国境付近に広がる広大な自然保護地域で、ライオン、ゾウ、キリン、サイ、カバなどの無数の動物たちが生活しています。曲は、草原の夜明けのように静かに始まり、美しい自然の情景が表現されます。

2.マサイの踊り

5拍子と7拍子が入り交じったような複雑なビートが遠くから聞こえてきます。やがて色々な楽器が複雑に絡み合って、踊りは最高潮に盛り上がっていきます。マサイはケニアの先住民族で、この曲は実際のマサイの踊りそのものではありませんが、3連符の様で、変拍子のようなアフリカのビート感覚を見事に表現しています。

3.キリマンジャロ

曲としてはコーダに相当するこの部分は、アフリカの「輝く山」を表現した壮大なものです。
作曲者のウォッシュバーンは1928年生まれのアメリカの作曲家で、日本ではイマイチ馴染みがありませんが、2曲の交響曲を始め多くの吹奏楽曲を発表している長老のひとりです。

<作曲>:ロバート・ウォッシュバーン
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第8回

気高きカスケード連峰の歌 ◆ Song of The High Cascades

米ワシントン州のカスケード連峰に取り囲まれた高原地帯、特にライアニール山に近い地域の壮麗で変化に富んだ印象を音楽的に表現したものである。対照的な2つのテーマから構成されており、1つは壮大で力に満ち、もう一つは内面的で抑制されたものである。この2つのテーマは、そこから派生する幾つかの付随的なモチーフを伴って、午後の太陽の光がこの山に満ちあふれる壮麗な瞬間を表すクライマックスへと発展していく。

<作曲>アルフレッド・リード
<出版>:PIEDMONT MUSIC
<演奏>:第1回

交響詩「オンリー・ワン・アース」 ◆ Symphonic Poem "Only One Earth"

1972年6月にストックホルムで開催された世界会議のメインテーマ「オンリー・ワン・アース」〜の発想によって作曲された。前半の不幸な部分が長いにも関わらず、幸せがやってくるとあっけなく終わってしまうのがこの曲。「せっかくいい気分になってきたのに」というところで、突然のエンディング。幸せとは、かくもはかないものなのであろうか?

<作曲>斉藤 高順
<出版>:TOA MUSIC
<演奏>:第1回

行進曲「K点を越えて」 ◆ March "Beyond the Critical Point"new.gif (147 バイト)

1999年度吹奏楽コンクール課題曲として1998年に作曲された行進曲。
1998年の長野冬季オリンピック、スキー・ジャンプ競技での日本人選手の活躍は記憶にも新しい。K点とは、スキー・ジャンプ用語で、着地における極限点を意味する。K点のKというのは、ドイツ語のKritischPunktの頭文字‘K’に由来する。英語ではクリティカル・ポイント(CriticalPoint)だから‘C点’ではないか?とも思うが、スキー用語ではドイツ語を用いるのが一般的で、この‘K’もその一例なのである。
「この極限に挑戦する選手たちの勇気を称えるべくこの作品を書いた、と同時にこの曲が、日々練習に励まれている演奏者の方々へのささやかなエールとなれば」と。作曲者は述べており、曲はさわやかなスポーツ・マーチとなっている。

<作曲>:高橋 伸哉
<出版>
<演奏>:第9回

子供たちの組曲 ◆ A Children's Suite

3つの楽章から成る曲で1.イントラーダ2.フィーリング3.ディスコ・ビートとなっている。全曲通してセミ・クラシック調で、作品当時のアメリカンポップスの影響が伺える。

<作曲>アンドレ・ワイグナイン
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第5回

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さ行

サモリム ◆ Samorim

この怪しげなタイトルは、どうやら作曲者のヤボブスキーがアラビア風メロディーとジャマイカ風リズムの組み合わせからインスパイヤされてつけられたようで、全くの造語かもしれない。曲の方はいたって単純で、短いイントロに続き、ドラムのスカビート(と譜面に書かれている)にのってアラビア風の怪しげなメロディーが歌われ、中間部になると今度はそのメロディーはメジャーに転調してジャマイカ風のリズムに乗って現れる。その後再びアラビア風が復活し曲を終わる。

<作曲>トニー・ヤボブスキー
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第3回

サラマンカ ◆ Salamanca

ダルマ3でのヒット曲「サモリム」に曲の作りがかなり似ている。かなり妖しいオープニングだが、一転長調に転調してからは比較的踊りたくなる雰囲気。しかし、また曲が頭に戻ってしまうので踊らない方が賢明。コーダは誰も理解できない和音が続いた後、何の変哲もないメジャー・コードで終わる。聞きどころは、サックスの妖しい裏リズムが永遠かと思われるほど続くところと思われる。

<作曲>コーン・デ=ヴォルフ
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第6回

ジャマイカの休日 ◆ Holiday On Jamaica

ジャマイカはカリブ海に浮かぶ小さな島国です。キューバの南にあり、カリブ海の島国の中では4番目に大きいとはいっても面積は秋田県とほぼ同じくらいの大きさで、英語を公用語にしている国です。歴史的には、1492年、コロンブスが上陸して、最初はスペイン、次いでイギリスの支配を受けましたが、1962年、カリブ海のイギリス植民地としては最初の独立国となり現在に至っています。中南米の国としては珍しい英語圏であり、政治的にも比較的安定しているためか、日本からは平和なカリブの国というイメージがあり、日本人観光客も毎年1万人程度訪れています。
ラテン音楽の中でもジャマイカはカリブ海系に属しています。キューバを中心に発展してきたカリブ海系のラテン音楽には、マンボ、ルンバ、チャチャチャなどがあり、いずれもコンガを演奏の中心とした明るいリズムです。その他、マラカス、ティンバレス、ボンゴ、クラベス、ギロといった、日本でもおなじみの打楽器がリズムを彩ります。
前置きがえらく長くなりましたが、「ジャマイカの休日」は、そんなジャマイカの雰囲気をお気楽に楽しむ曲で、本当は説明なんて要らないような曲です。太陽と海の国の乾いた暑さ、明るい日差しが思い浮かんできます。

<作曲>:ハンス・フィリンガー
<出版>
<演奏>:第8回

序曲「インペラトリクス」 ◆ Imperatrix,A Concert Overture

曲内容はこの作品を組み立てている全ての主題的な材料が示される幅広い序奏で始まる。これに続き、金管のファンファーレ的な音型で輝かしいアレグロが始まり伝統的な和声によらない発展部が現れる。次に前のアレグロとは対照的にフルート全員による叙情的なユニゾンが現れる。そして再びファンファーレが鳴り響きアレグロの発展部が現れ喚起の中で曲は終わる。ちなみに曲名の「インペラトリクス」とは「古代の皇后」の意である。

<作曲>アルフレッド・リード
<出版>:TOA MUSIC
<演奏>:第5回

序奏と祝典 ◆ Introduction and Festiva

曲は、遅い−速い−遅い−速い、という5部から成り、そのうち最初の木管によるコラール風のゆったりとした部分が「序奏」、残りが「祝典」であると考えられる。タイトルから考えると「序奏」と「祝典」は対等な関係にありそうなものだが「祝典」の方が俄然色々あって長い。約7分の間に吹奏楽の多様なサウンドが詰め込まれた曲。難解な曲かと言われれば、分かり易いメロディーもたくさんあるが、安易な曲かと言えば奇妙な和音進行などでわけが分からないかもしれない。どんな曲かと言われると結構困るのはこんな曲かもしれない。

<作曲>デヴィッド・シェイファー
<出版>:Barnhouse Co.,
<演奏>:第5回

シンフォニック・スケッチ ◆ Symphonic Sketch

5つの楽章からなる組曲で1.イントラーダ2.カント(歌)3.ダンス(舞曲)4.コラール5.フィナーレ(終曲)となっている。この曲は派手さはなく、ファンファーレやダンスさえも、どこか垢抜けないような印象がある。ここには流れるような旋律美も、格調高い形式美もない。しかし、呪文じみた不思議な魅力のある曲である。

<作曲>エリオット・デル=ボルゴ
<出版>:Shawnee Press,Inc.,
<演奏>:第2回

吹奏楽のための幻想曲「オレゴン」 ◆ Oregon,fantasy for band

タイトルのオレゴンはもちろんアメリカのオレゴン州のことで西部時代のイメージを音楽にしたと行っても差し支えないだろう。曲のほうは極めて自由に作られていて、一見思い浮かぶままにメロディーをつないでいったとでも言うような仕上がりで、悪く言えばまとまりがなく感ずる。しかしながら実際にはこの曲は一つのモチーフを基本として作られており、一つ一つのパーツの出来もよく、優れたエンターティメント的吹奏楽といえる。まとまりがないと感じたとしても、組曲を聴くと思えば何ら問題はないだろう。

<作曲>ヤコブ・デ=ハーン
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第3回

前奏曲と原始の踊り ◆ Prelude and Primal Dance

この曲は打楽器の重苦しいリズムに支配される神秘的な前奏曲は7拍子とちょっと変わってはいるが、エキサイティングなリズムにより表現されるダンスに入ると最後まで一緒である。

<作曲>エド・ハックビー
<出版>:Birch Island Music Press
<演奏>:第6回

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た行

たなばた ◆ The Seventh Night of July

酒井格(1970〜 日本)による1987年の吹奏楽作品。彼は高校生の時に作ったこの曲のスコアを大胆にもデ=ハスケの社長ハーン氏に見せたところ、ハーン氏に「これは売れる」と言わしめた作品らしい。曲はスネア・ドラムのリム・ショットとサスペンド・シンバルのロールと和音という不思議な構成のイントロに始まり、すぐに速くなってしまう。その後どこかで聴いたことのあるようなメロディが続き、中間部に入る頃には遅くなる。中間部は各楽器のソロを含む歌う場面。再び速くなると、またもや前半のメロディが帰ってくるが、なぜか突然アルヴァマーになってしまう。その後サン=サーンスの「サムソンとデリラ」のバッカナールやカウディルの「ランドマーク序曲」と続き、金管楽器が中間部のメロディを苦しそうに歌い上げてコーダに入り、一気に終わる。とにかくパワーが続かない作品。死んでみたい人はぜひ一度やってみた方がよい。最近巷で流行っているらしい。

<作曲>酒井 格
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第6回

ディスコダクション ◆ Discoduction

1959年の作。前半はファンファーレが、後半はドラムセットの軽快なディスコ・ビートに支えられたこれまたファンファーレが続くという構成で作られている。演奏時間1分半。オープニングにはもってこいである。

<作曲>ヤコブ・デ=ハーン
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第6回

テキサス・プロムナード ◆ Texas Promnade

テキサス州はアメリカの南部に位置し、吹奏楽も大変盛んなところです。
この曲は世界最大の吹奏楽組織であるテキサス・バンド指導者協会の50周年記念大会のために書かれました。
作曲者のホールジンガー氏は、この曲について次のように語っています。「テキサスとそこに伝わる伝統的遺産はまごうことなき心の故郷である。テキサスの多彩かつ広大な光景は、この土地を一言で総括することを許さない。そして、テキサスのバンドの歴史は大変驚くべきものである。また、テキサスでの、本物(そしていかさまの)カウボーイ、ピックアップトラック、フットボール、マーチングバンドなどは、殆ど宗教といって良い熱狂ぶりである。皆さんが世界中のどこに住んでいようと、テキサス・プロムナードの精神が接触伝染性のものであることを発見するよう願っている」
曲は、テキサスの街頭で聞こえてくるさまざまな音楽や騒音をそのままパックにしたような、騒然としたものです。速いテンポで繰り広げられる軽妙なメロディ群と、その間に挿入されるマーチング、ラッパの音、たくさんのメロディの支離滅裂な重なり合いが、見事な展開で聴かれます。

<作曲>:デヴィッド・ホールジンガー
<出版>
<演奏>:第8回

ドラゴンクエスト4 メドレー ◆ Dragon Quest 4 Medley

ファミコンでおなじみのこの曲、単なるゲーム音楽の枠を越え、バロック、マーチ、現代音楽、民族音楽風など様々な曲が登場する。

<作曲>:すぎやまこういち
<出版>MUSIC EIGHT
<演奏>:不定期


な行

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は行

ハイランド・ラプソディ ◆ Highland Rhapsody

タイトル通り、ハイランド(スコットランド)地方の民謡の雰囲気を持った曲です。民謡といっても実際の民謡が使われているのではなく、全ては作曲者のオリジナルの旋律です。曲は3っの舞曲風の部分からできています。最初何故かトロンボーンのグリッサンドで始まり、すぐにスコットランド舞曲風の第1メロディが始まります。3拍子系のちょっとゆったりとしたメロディです。第2のメロディは小太鼓のリズムに乗って、フルートが軽快に始めます。そして3っ目のメロディは、6/8拍子のマーチテンポの舞曲です。このメロディが元気よく演奏されて曲は終わります。

<作曲>ヤン・ヴァン=デル=ロースト
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第7回

パワー・ミュージック ◆ Power Music

ポピュラーチックな吹奏楽オリジナル曲。イントロは高らかな感じだが、すぐに速くなり「たなばた」の主題が現れる。中間部らしきところは多少変わった強弱の指定がある。再び頭に戻るとコーダに突っ込み、イントロが返って来たかと思うとあっさり終わる。曲が終わって再びタイトルをみると疑問がわき出てくる、不思議に後を引く作品である。

<作曲>ロブ・アリーズ
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第6回

バンドのための間奏曲 ◆ Interlude for Band

打楽器のロール、そして低音から始まりその旋律を高らかなファンファーレとして金管楽器が受け継ぐ。なかなかオープニングにふさわしい曲だ。起承転結のはっきりした、短く、わかりやすい曲で、リズム、コード共に自然に使われている。が、決して退屈な曲ではなく金管と木管の奏でる旋律が巧みに交じり合い、吹奏楽特有の持ち味がよく引き出されている。また、各所に現れる2部3連形態がスパイシーで、この曲の質を高めていて作曲者のセンスがチラチラと伺われれる。

<作曲>フランコ・チェザリーニ
<出版>:MITROPA Musik
<演奏>:第4回

バンドのためのファンタジー ◆ Fantasy for Band

作曲は、吹奏楽ではよく知られた作曲家フランク・エリクソン。作曲年代は不明だが、未だにメロディーの美しさなどが魅力的な曲である。トランペットのファンファーレの後、速い第一主題がクラリネットの低い音域で現れる。その後、転調してゆっくりとした第二主題になる。それが次第に速まって民謡風の中間部を導く。とても親しみやすい部分だ。そのまま第一主題が再現され、長調に変形して現れたりするが、最後はゆっくりとした第二主題で堂々と終わる。忘れ去られていく運命をたどっているという感じの曲だが、度重なる転調やメロディーの展開で変化をつけた、音楽的にも優れた作品だ。

<作曲>フランク・エリクソン
<出版>:BOURNE Co.,
<演奏>:第4回

フィエスタ・デラ・コスタ ◆ Fiesta Della Costa

ドラムスをつかったポップ調の吹奏楽曲です。
タイトルはスペイン語で海岸の祭りを意味していますので、スペインまたはラテンアメリカの海岸での陽気な祭りをイメージしたものでしょう。
曲はいきなり3連符のユニゾンで始まり、ドラムがアドリブ風のフレーズで応え、お祭りの始まりです。リズムに乗って次々とメロディが入ってきて、盛り上がっていきます。ところどころドラムのソロを交えながら一通り盛り上がると、ちょっとテンポを落として中間部に入ります。よくある吹奏楽曲みたいな、ゆっくりとした中間部ではなくて、ミディアムテンポでもビートの効いた部分で、これも段々盛り上がり、その頂点で前半の部分が再現されエンディングとなります。
この曲はスケルツァンド社というヨーロッパの出版社から発売されており、スイスのミトローパ社というところからCDも出ているのですが、CDの解説には「このエキサイティングな曲をサマーコンサートのレパートリーにしよう!」みたいなことが書かれているだけで、曲についてとか、作曲者についてなどは一切書かれていません。

<作曲>:ラク・ギステル
<出版>
<演奏>:第8回

フェスティーボ ◆ Festivo

吹奏楽をやっている人なら、よく聴く曲だと思う。全曲が短3度の音程による次第で統一されている。バロックと現代とスラブの香りが同居し、感情を超越したメカニカルなサウンドはネリベルサウンドと呼ばれ、この曲も未だ斬新さを失っていない。

<作曲>ヴァーツラフ・ネリベル
<出版>:TOA MUSIC Co.,
<演奏>:第2回

フラッシング・ウィンズ ◆ Flashing Winds

ファンファーレの後16ビートの軽快なリズムに乗って主題がトランペットに現れる。この展開はアメリカ吹奏楽風の手順だが、ファンファーレに使われるハーモニー、リズムの取り方、メロディーライン、どれをとってもヨーロッパらしいおしゃれなセンスに満ちている。その後の展開も実に自然な物で、そのままのテンポで中間部に入る。この中間部のメロディーは長めのとても美しい物である。後半は最初のテーマの繰り返しとなるが、最後にファンファーレの主題がそのままのテンポで再現され、ハイボルテージのまま曲を閉じる。

<作曲>ヤン・ヴァン=デル=ロースト
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第3回、第5回

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ま行

マーキュリー ◆ Mercurynew.gif (147 バイト)

1990年、ヴァン= デル= ローストが指揮する金管バンド“Midden Brabant”の15周年を祝して作曲されたコンサート・マーチ。この曲は前述の通り、もとは金管バンドのための作品だが、作曲者自身が吹奏楽用にも編曲しており、今日演奏するのはその吹奏楽ヴァージョンである。
題名にあるマーキュリーとは古代ローマの神。音楽、発明、窃盗、幸運、預言、取引、弁舌など多彩な分野にわたる守護神で、水星にもその名が冠せられている。
作曲者が‘ブリティッシュ・スタイル’と表現するこの曲は、短調を基調とした重厚なイメージのコンサート・マーチである。

<作曲>ヤン・ヴァン=デル=ロースト
<出版>:DE HASKE
<演奏>:第9回

マザーマ ◆ Mazamanew.gif (147 バイト)

1984年、ウェスタン・インターナショナル・バンドクリニックの委嘱により作曲された作品。
曲はアメリカの北大西洋沿岸、現オレゴン州に位置するマザーマ山一帯にかつて住んでいて、マザーマ山の噴火によりほとんど滅亡してしまったといわれるインディアンたちの祭りと伝説を描いたものである。マザーマ山の噴火口は今では湖となり、クレーター・レイク国立公園の主役となっている。
この曲では、そのムードを演出するためのさまざまな工夫がなされている。まず、オカリナ。2本のピッチの違うオカリナを効果音として使用している。打楽器では、アニマル・ベルと楽譜に表記されている楽器が登場する。これは、特定の楽器を指したものではなく、いろいろな鈴のような打楽器をジャラジャラ鳴らすもので、今回の演奏会では多数のプレイヤーがいろいろな打楽器を鳴らす予定である。さらに声や息の音が効果的に使われていて、楽器に息を通す音や、Shhhh、という発音、そして、歌が印象的である。歌には歌詞もあり、歌詞はインディアンの言葉で、「山と海の国」を意味しているという。
曲は、打楽器による衝撃音、オカリナと、吹奏楽らしからぬサウンドで始まる。そして歌がインディアンの国を称えると、クラリネットのメロディがマザーマの広大な大地と澄みきった空気を表現する。やがてテンポが上がり、エキサイティングなインディアンの祭りのシーンに突入する。それが静まりゆっくりとなると再び歌が現れ、最後は、急速調の短いコーダで締めくくられる。

<作曲>:ジェイ・チャッタウェイ
<出版>
<演奏>:第9回

メキシコの情景 ◆ Mexican Picturesnew.gif (147 バイト)

メキシコ民謡を元にした4楽章の組曲。メキシコについて我々がいだく一般的なイメージの通り、陽気なムードに包まれている。4曲の概要は以下の通り。

1.El Butaquito

メキシコの同名の民謡を元に作られたもので、8分の7拍子、5拍子、6拍子、8拍子などのいろいろなリズムがめまぐるしく移り変わり、独特のリズム感を形成しているのが特徴的。

2.Romance Mejicano

静寂と平和を感じさせるロマンティックなムードのワルツ。全体に静かな音量でささやくように歌われる。

3.Ballaviejo

アフリカから来た黒人たちから受け継がれたリズムによるアンティークな踊り。ギロやマラカスの開放的なリズムに乗ってトランペットなどの管楽器たちが自由奔放に歌い始める。

4.La Charreada

4分の3拍子と8分の6拍子が重なった複雑なリズムで繰り広げられる陽気なロデオ。常に速いテンポで展開し、ハチャメチャに盛り上がる。

<作曲>フランコ・チェザリーニ
<出版>
<演奏>:第9回

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や行

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ら行

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わ行

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